第6回 インテリア設計士の家具デザインコンペ結果について 「ありそうでまだない家具」
熊本県インテリア設計士協会主催
1 審査経過
応募作品は合計69点。熊本デザイン専門学校6点、八代工業高校38点、熊本工業高校3点、日本文理大8点、鶴崎工業高校14点であった。
大学、専門学校、工業高校と校種の違いはあるが、一括して審査することに問題はないだろうと判断した。
第1次審査:全作品について応募資格・応募条件の確認をおこなったが、人物を描いていない作品が8点もあった。条件違反ということでこれらを除いた61点を二次審査対象とした。
第2次審査:各審査員が全作品の中から5点ずつ選び、第3次審査対象とした。
第3次審査:第2次審査を通った作品22点を各審査員が評価表に基づいて評価していった。第一印象度、デザイン力(アイデア、展開力)、表現力(図面効果、説明の分かりやすさ)について、それぞれ5点満点で合計25点満点として評価した。次に審査員6名の合計点をつけ、その点数順に審査員全員で作品について検討し、入選作品を決定した。
2 熊本県インテリア設計士協会のコンペのねらい
熊本県インテリア設計士協会では、インテリア業界の実力アップとレベルの向上のために、インテリア設計士資格検定試験を推進している。その一方で若者のインテリアデザインへの関心を高めたいと考え、そのための活動の一環として、学生向けの家具デザインコンペを実施している。今年度は69作品(昨年は68作品)の応募があり、内容も年々充実しておりさまざまな工夫がみられた。熊本県インテリア設計士協会では、今後もインテリアに関心をもった人材育成を基本スタンスとして家具デザインコンペを継続していく所存であり、ぜひ、各学校でインテリア設計士の家具コンペに取り組んでいただき、デザイン教育のために役立ててもらえたら幸いである。
3 入選作品
○最優秀賞 熊本デザイン専門学校 1年 島田 舞
「Pull out」
【講評】左半分はポールの収納スペースであり文字通り「Pull out(=引き出せるようにできている)」な構造である。これほどのデッドスペースをもつ家具は実際にはありえないが、使用者のアイデア次第であらゆる利用方法を編み出すことのできるまさに融通無碍な、見れば見るほど「ありそうでまだない家具」である。人間工学に基づいた工夫にも好感がもてるし、何より、最優秀賞に相応しい良く作り込まれたプレゼンである。
○優秀賞 鶴崎工業高校 3年 川野 諒
「ロケットソファー」
【講評】一般的に、ソファーは収納できないものである。ソファーを積んで、オブジェにしてしまおうという発想には仰天させられた。プレゼンも一目でコンセプトが伝わり、秀逸である。しかしながら、実際には1段目と2段目の間にくびれができるので、こういう形にはならないはずである。今後は、ぜひ、模型をつくって検討してみてほしい。きっと、さらに良いフォルムが創造できるであろう。
○優秀賞 熊本デザイン専門学校 1年 宮本 達也
「MOMENT」
【講評】おそらく、上位3作品の中でもっとも実現性の高い作品である。肘掛けが可動式になっており、背もたれになったり両肘を付いたりあごを乗せたりと、多様な座り方に対応できる優れものである。ところが、プレゼンがあまりにもあっさりしており、間を愉しむレイアウトともいえず、中途半端で物足りないのが残念である。緻密な模型の製作技術は素晴らしいので、さらに精進してほしい。
○佳 作 熊本デザイン専門学校 1年 藤浦 健太郎
「Parent-child confronted time 親子で向き合う時間」
熊本工業高校 3年 玉田 里萌 「Secret base」
日本文理大学 3年 海原 佳起 「棒 the wall」
八代工業高校 3年 濱崎 玲美 「憩 いこい」
○奨励賞 八代工業高校 3年 田中 晴香 「楽してほっこり」
八代工業高校 3年 小林 茉夏 「子供と一緒」
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