第13回 インテリア設計士の家具デザインコンペ結果について
「かわいい家具」
主催:OIS大分県インテリア設計士協会
((一社)日本インテリア設計士協会正会員)
協賛:(一社)日本インテリア設計士協会・
(公社)大分県建築士会 大分支部・
JIA(公社)日本建築家協会 九州支部 大分地域会
後援:日本インテリア学会 九州支部
1 審査経過
熊本工業高校より37作品、八代工業高校より21作品、日本文理大学より12作品、熊本YMCA学院より8作品、日本デザイナー学院 九州校より8作品、宮崎工業高校より3作品、熊本デザイン専門学校より3作品、日田林工高校より2作品、鳥栖工業高校より2作品、都城工業高校より1作品、都城工業高等専門学校より1作品、近畿大学より1作品、大分県立芸術文化短期大学より1作品の応募をいただき、応募総数は100作品でした。
昨年までの採点方法を踏襲し、年齢で部門を変えることはせず、すべての作品を同一の基準で審査しました。
〈第一次審査〉
全作品について応募資格・応募条件を確認し、裏面にエントリーシートを貼り付けていない作品、A3横使いでない作品、人物の描かれていない作品を失格としました。失格は3作品ありました。
〈第二次審査〉
大分県インテリア設計士協会より2名+日本建築家協会九州支部大分地域会より1名+大分県建築士会大分支部より1名+日本インテリア学会九州支部より1名=合計5名の審査員が6作品ずつを選び、第一印象度、デザイン力(アイデア、展開力)、表現力(図面効果、説明の分かりやすさ)について、それぞれ5点満点で合計25点満点として評価しました。
〈第三次審査〉
審査員全員で合計点数順に作品を検討し、入選者を決定しました。
2 大分県インテリア設計士協会のコンペのねらい
若い学生たちのインテリアへの関心を高めるため、熊本県インテリア設計士協会主催により7年間、大分県インテリア設計士協会主催により6年間、合計13年間連続でインテリア設計士の家具デザインコンペを開催してきました。九州においてこうしたコンペを開催することは、延いては地域のインテリア・空間デザイン・建築文化の発展につながると考えています。次年度以降も家具コンペを継続いたしますので、これからも各学校でデザイン教育に役立てていただき、積極的に取り組んでいただけますと幸いです。
3 入選作品
○最優秀賞 熊本デザイン専門学校 建築・インテリアデザイン 2年 森 万利与
「ここごろん」
【講評】
カラフルなヘルメット素材の子ども用リュックサックです。荷物を運ぶだけでなく疲れたら椅子代わりにもなり、視覚的に目立たせるとともに転倒時の安全面でも役に立つ、形状が機能的で美しく、何より子どもたちが「ここごろん」を背負って歩く姿を想像すると、いかにも可愛らしい風景が目に浮かぶようです。「かわいい」が単にモノとしての家具の属性ではなく、人間が使っている姿を人間が見て共感を得るなかで発生する情動に起因することを明快に示す出色のアイデアに、審査員一同、全会一致で最優秀賞に推しました。なお、森さんは、もう一作品、佳作にも同時受賞しています。実力者であることを結果が証明しており、将来の活躍が期待されます。
○優秀賞 熊本県立熊本工業高等学校 インテリア科 2年 福田 啓太
「たんぽぽライト」
【講評】
出題者からの「あなたの思う"かわいい"を大切にしつつも広く共感が得られる"かわいい家具"をデザインしてください」という投げかけに、もしも種を満開の状態にまとったタンポポが光ったら、きっとかわいい照明になるだろうという明快なアイデアをもって回答としています。プレゼンテーションが実際に鉢に植えたリアルなタンポポそのままとなっており、照明デザインの観点からもう一工夫ほしかったところですが、暗い部屋にふかふかの光が浮遊する姿を想像すると、そこに「かわいい」の本質があるように思われます。
○優秀賞 日本文理大学 建築学科 3年 堀之内 彩
「雪化粧」
【講評】
上位3作品のうち2作品がプロダクトデザインであったのにたいし、本作品はスペースデザイン的な提案となっています。室内に雪とは奇想天外な発想ですが、乱雑だった部屋に雪化粧を施すことで、一瞬にしてスッキリした空間に変化させてしまう手法に驚かされました。生成AIを上手く活用している点も目新しく、今後のプレゼンテーションの在り方に一石を投じています。ただし、雲海を思わせるような綿のようなカーペットがダニの温床にならないか、またメンテナンスはどうするのかなど問題点も多く指摘され、良い意味でも悪い意味でも問題作といえます。
○佳作・JIA賞 大分県立芸術文化短期大学 専攻科造形専攻 1年 堀 遼太朗
「モクハンセン」
【講評】
JIA公益社団法人日本建築家協会 九州支部 大分地域会のご協賛により設定された「JIA賞」受賞作品です。
幼児は身体の成長に合わせて遊び方も変化します。この作品はシンプルかつ抑制的なミニマルデザインであるにもかかわらず(であるからこそ)多義的な意味をもつ、いわばレス・イズ・モア(寡黙なる饒舌)を表現している点で、モダニズムが愛着という「かわいさ」をまとうことができると主張しているように思われます。そういう点では極めて建築的であり、JIA賞に相応しい作品です。
○佳作・建築士会賞 日本文理大学 建築学科 3年 松野 太紀
「キュッとウォ~ク」
【講評】
公益社団法人大分県建築士会 大分支部のご協賛により設定された「建築士会賞」受賞作品です。
一見すると、これは家具なのだろうか?と疑問に思いますが、砂のカーペットと考えれば合点がいきます。「かわいい音」という着眼点は他の作品にはない観点であり、建築に関連する幅広くさまざまな専門家の集団である建築士会の審査員から高い評価を得ました。
○佳作 熊本デザイン専門学校 建築・インテリアデザイン 2年 森 万利与
「STEPPA(すてっぱ)」
○佳作 日本文理大学 建築学科 3年 渡邊 聖月
「Friendly Chair」
○奨励賞 熊本県立八代工業高等学校 インテリア科 3年 立杉 優海
「パクパクどうぶつシリーズ」
大分県立日田林工高等学校 建築土木科 3年 長尾 歌心結
「プルメリア ~幸せを導く机~」
佐賀県立鳥栖工業高等学校 建築科 3年 髙﨑 春風
「Cat with Baby」
日本デザイナー学院 九州校 くらしデザイン科 1年 チャン ラム タオ
「月と雲の読書チェア」
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